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90年代回想シリーズ――ペプシボトルキャップ

90年代の出来事を当時の青少年たちに振り返ってもらうシリーズ企画。初回となる本記事では、そんな90年代の末を彩る消費文化「ボトルキャップブーム」を、和歌山県の片隅で真正面に受け止めボトルキャップ集めに奔走した二人に振り返ってもらった。語り手はAkatoおなじみ、ストリートカルチャーに青春をささげたcafeアマアイの店主鳥羽山恭平さん、そして鳥羽山さんの幼なじみかつ後輩で、ともに青春を過ごした写真家の丸山由起さんだ。まずは、ボトルキャップブームを決定的なものにした「スターウォーズ・エピソードⅠ」のお話から。

話し手:鳥羽山恭兵、丸山由起
聞き手:池山草馬(株式会社ヒトノハ)

|ノルマを課してペプシを飲む――少年たちの過酷な戦い|

鳥羽山 スター・ウォーズが出たときには、すぐにペプシがなくなって。新しくできたジャスコ(現:イオン)には大量にあるって聞いて。それで、由起(※丸山)と学校終わりにほぼ毎日買いに行きましたね。1日2本をノルマにしようって決めて。

丸山 うん。いっぱい飲んでるといったら、スター・ウォーズはシール20枚で大きな景品がもらえるってのがあったね。あれ、50缶で送れるやつやったから……。恭兵さん、たしかR2D2もってなかった?

鳥羽山 シール集めたな〜。R2-D2もってたで。C-3POも。

丸山 ちゃんと箱入りのね、フィギュアみたいなやつ。恭兵さんのR2-D2は走るやつ――

鳥羽山 あれ、走ったっけ?

丸山 走るか、ガチャってやって、ストローついてて飲める。

鳥羽山 あー、俺たぶん飲んで使ったと思う。なにもわかってなかったから。

丸山 それが羨ましすぎて、俺その次から全部持ってた。なんか、スター・ウォーズのエピソードゼロとかね! あれ、過酷やったで。

鳥羽山 うん、過酷やったよね。過酷やった。

丸山 まあ、うまいけどね、ペプシ。スケボーしながらでも飲めたし。ボトルキャップシリーズは、そのあとかもしれんね。

鳥羽山 考えたらそうやね。

丸山 なんか当時、ストリートカルチャーで、フィギュアブームがあって。

鳥羽山 その流れやったよな。ペプシのプロモーション出だしたの。

丸山 フィギュアは買えやんけど、俺らでも手が出せるというか。上手やんね。俺ら世代を上手におしゃれな世界に。ターゲットやったか知らんけど。

鳥羽山 まじでそう。スター・ウォーズ、他にはしてなかったよね。ペプシだけやんな。あの頃、コカコーラより、ペプシのほうが飲んでた気がする。

丸山 うん。なんか、おしゃれな感じがして。アメリカンな感じがした。

鳥羽山 そうそうそう。

――フィギュアブームっていうのは、どういうものがあったんですか?

鳥羽山 アメコミやったり、G.Iジョーっていう、兵士系。でも、当時のお財布では結構高くて、一体6000円くらい。コスチュームが結構別売りにされてて、いろんなドイツ軍の服装とか、海兵とか、あとSWATとか、そういう着せ替えがあった。まあ、男版のバービー人形みたいな感じ。その他にもアメコミがあったり。そういう流れでスター・ウォーズもあって。

丸山 俺、さっきのシールの景品も3つもってた。最初がR2-D2で、次がC-3POで、スター・ウォーズのエピソードゼロの、エピソード系のやつの量産型雑魚みたいなやつもあったんよ。そのあと、ペプシマンが缶を運ぶやつが同じノリで出てきて。俺、R2-D2以外は全部持ってる。

鳥羽山 俺、最初の2つしか覚えてない。

丸山 俺一人で残って……(笑)

鳥羽山 すごいね。しんどくて、俺はもう無理って。

丸山 骨溶かす―ってね、言われてたのに。

鳥羽山 そうね、当時ね。

――スター・ウォーズ自体も流行ってたんですか?

丸山 そうそう、リバイバル上映とかでね。それでバウンティハンターヒカルみたいな、ストリート文化のカリスマみたいな人が、これ注文してますっていったら、俺らがじわじわほしくなってくるみたいな。ボトルキャップはいまはあまりないんかもね。まあ、ボトルキャップのところが土台になってフィギュアみたいになるから、結局挿さないしね。

――集めたやつは、かっこよくディスプレイしてたんですか? 

丸山 もちろんしてた。当時音楽好きな人の中で、CDコンポみたいなのが流行ってて。まあ、だいたいみんなのコンポの上にボトルキャップが並んでる、みたいな(笑)。あったよね。

鳥羽山 そうそう、バンダナかなんか引いて、その上に。うちの姉ちゃんもやってた。

|フィギュアを収集していた少年たちのいま|

――ペプシ飲んでボトルキャップを集めるって、今振り返るとなんでやってたんだと思いますか?

丸山 単純に、収集欲かな(笑)

鳥羽山 男の子の収集癖。

――チョコボールの金銀のエンゼルを集めるみたいな。

丸山 まさにそれ。十種類とかで最初はその中でこれがほしいなってなるんやけど。外れて7種類くらいになったら、あとちょっと揃えたいなみたいな。人間の心理をついてる。

――いまも、復刻でペプシボトルキャップのスターウォーズシリーズが出るってなったら、買いますか?

鳥羽山 まあ、買わないですね(一同笑い)。一個か二個は買うかもしれんけど、コンプリートはしない。

理由はたぶん、置く場所ないっていうのが一番かな。だから、これがビックリマンシールやと、買うかもしれん。薄いし。何年か前に、なんやったかな。ビックリマンで、それこそスター・ウォーズやったかな。エピソードセブンのビックリマンみたいなのが出たと思う。俺、普通に大人買いしたもん。ビックリマンのスター・ウォーズバージョン。7−8年前やから、詳しく覚えてないけど。普通にアマゾンで、箱かなんかで買った。箱なら全部入ってるから。結局安くつくから。

――なんだかんだでいまでも集めているものとかありますか?

鳥羽山 コミック。昔からやけど、マンガは、数は減ったけど。

丸山 スマホとかの画面よりも本で読みたいもんね。

鳥羽山 読みやすい。それはそうやね。基本チェックして、本当に気になるやつは買う。

丸山 俺は、本とかは集めるまではいかへんけど、インディペンデントマガジンみたいなのはちょっと集めたりしてる。インディーズCDみたいな感じで、各メディアの人たちが思いを込めてつくった雑誌なんやけど、続かないし、重版もかからないから、そこで買わないと何も残らないっていうのが。めっちゃ内容ないやんみたいなのもあるけど、それでも愛おしいというか。これ、作りたかったんやろなあっていうのがあるから。だから、ちょっと興味あるジャンルのやつは集めますね。

――衝動買いみたいな収集は、やっぱり年齢とともに落ち着きましたか?

鳥羽山 うーん、まだあるかなあ。どうやろう。

丸山 当時集めてたような音楽とかも、いまはサブスクでいいもんね。集めなくても良い時代にはなってきてるかな。ペプシみたいなグッズ系は少ないかな。写真集とか、本系は買っちゃうけど。

鳥羽山 今の、一番興味があるなかで、特にっていうのだけはさ、ものとしてほしいけど。それ以外の興味のあるものは、まあデータのほうがええもんね。

丸山 データは場所とらんし邪魔にならんからね。紙媒体は、デジタルで読むのはちょっとしんどいからとって変えられないんですけど。グッズは集めないねえ。

|集めることに夢中になっていた、あの頃の僕らへ伝えたいこと|

――最後に、当時ペプシをたくさん飲んで、ボトルキャップなどを収集していた昔の自分になんて言ってあげたいですか。

鳥羽山 むしろ、なんやったらもっと買えよって言いますね。もっと頑張っ買うとけよ、って。

丸山 ちょっと物怖じするんやなくて。どっちかといえば、やりきっといてもらうほうが。

――ある程度やりきってはいたけど、もっとやってもいいよ、と。

丸山 もっといったほうが、良い気がする。

鳥羽山 うん、そう思う。

(文:池山 構成:山口 編集:辻本 写真:丸山)

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