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あの頃と今のベストバイーー1995年〜2000年編

毎年様々なWEBメディアで企画が組まれる「ベストバイ」。その年を彩るヒット商品や、意外な掘り出し物を知る良い機会であると同時に、それを買った人の生活や人柄が見えてくる企画だ。今回は、Akato管理人の鳥羽山恭兵さん(41歳)を迎え、地元の盟友である写真家の丸山由起さん(40歳)も交えながら、10代の後半を彩る90年代のベストバイと2022年のベストバイの2つを尋ねた。和歌山県那智勝浦町という都市圏から遠く離れた港町で生まれ育ちながら、ストリートカルチャーをこよなく愛する鳥羽山さん。そんな彼のベストバイは、この20年でどのように変化したのだろうか。まずは、1995-2000年のお話から。

(後編)あの頃と今のベストバイ:2022年編

話し手:鳥羽山恭兵、丸山由起
聞き手:池山草馬(株式会社ヒトノハ)

目次
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NO.1「ニューヨーク・ヤンキースのキャップ」
NO.2 「shock wave(Panasonic)」
NO.3 「Growing Up(Hi-STANDARD)」
NO.4 「スケートボード(鳥羽山カスタム)」
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|NO.1 ニューヨーク・ヤンキースのベースボールキャップ|

引用:MoMA Design Store ( https://www.momastore.jp/shop/g/g0192092003165/ )

――まずファッションアイテムから教えていただけますか?

鳥羽山 それでいうと、ニューヨーク・ヤンキースの帽子。色は定番のネイビー×ホワイト。ニューエラとかではなく、正真正銘のMLBのベースボールキャップ。それを、こう(逆向きに)してかぶる(笑)。

――どこで手に入れたんですか?

鳥羽山 これ、どこやろう。和歌山市の近鉄百貨店の中にある服屋さんにあって。当時、好きなバンドのボーカルがニューヨーク・ヤンキースの帽子を逆向きにかぶってたんですよ。それで、みんな真似してたと思う。

――結構みんな持ってたんですか?

鳥羽山 いや、持ってなかった。この地域やと俺だけやないかな。その、ニューヨーク・ヤンキースのキャップを逆にかぶって、SupremeのTシャツを着て、カーゴパンツを履いて。それが当時の一張羅でしたね。(笑)

――鳥羽山さんといえば、いまでもキャップをかぶっているイメージがあります。昔からキャップはお好きなんですか?

鳥羽山 そうですね。好きでしたね。髪の毛が結構くせ毛で、結構硬かったんで、セットしてもすぐにもとに戻ってくるっていうのもあったりとか。あと、ストリートのアイテムとしてあったんで。いまは、職業柄髪の毛が落ちるかもしれないんで、昔の名残の延長線上でかぶってる感じですね。

|NO. 2 shock wave(Panasonic)|

引用:GO OUT ( https://web.goout.jp/fashion/24737/ )

――さて、shock waveですね。これ、どんなものなんですか?

丸山 迷彩柄のね、ウォークマンみたいなやつ。Panasonic製。ヘッドフォンがね、ボンボンってなる。結構強くて……重低音って言葉が出始めた頃やもんね。

鳥羽山 そうやね。これ、実は僕持ってなくて。当時、相手のものを借りるっていう文化があったんですよ。

――ベストバイというよりは、ベストレンタルですね?

鳥羽山 そう、バイではないんですよ(笑)。当時、友達から借りて使っていて。shock wave借りたりとか。あとは、Gショック、あれを交換したりしてましたね。

丸山 結構もろたり、先輩とか親戚の兄さんとか。

鳥羽山 Gショック流行ったね。姉ちゃんにもらったんかな。これ使わんからあげるわって、派手なカラーの。

丸山 なんかさっきのshock waveとかも、Gショックがタフでストリートみたいな文脈つくって、後乗りでいろんな企業さんがって形やね。shock waveとか、そういうのが後から出てくるので。

――shock waveも落としても割れないみたいなのが売りなんですか?

鳥羽山 いや、このショックは、振動の方のショックだと思う。

丸山 でもshock waveは、入れたあとネジでロックをかけれたりとかが他と違って。タフは多少売ってたかも。

――これは特に、どこが気に入っていたんですか?

鳥羽山 やっぱりファッションアイテムとしてのストリート感。それが一番ですね。

丸山 当時各メーカー、ポータブルカセットプレイヤーの覇権の争いがすごかったんよ。各社、頭出しの機能をつけたりとか。俺が持ってたやつやと、リモコンが取り外しできてセンサーで飛ぶようになったりとか、コバンザメっていう。各社四半期ごとのカタログには最新機種が出てみたいなのがあって。どんどん性能が良くなっていくんやけど、shock waveはちょっとガラが違うっていうか。最先端を行くっていうよりかは、文化的な感じ。そこにみんなぐっとくるっていうのがありましたね。

――ちなみに、shock wave今、買えたら買いますか?

鳥羽山 ……いや(苦笑)。

丸山 でもあれ、聞けるかもしれんで(鳥羽山さんが持ち込んだ、90年代カセットの山を指差す。その様子はこちらから)。

|NO. 3 Growing Up(Hi-STANDARD)|

引用:TOWER RECORDS ( https://tower.jp/item/596180/Growing-UP )

――次に音楽アルバムとして、High-STANDARDのGrowing Upをあげてもらいました。

鳥羽山 メロコアとかハードコアを聞くきっかけになった、中学校のときにはじめてみたPVがこのGrowing UpのなかのPVやったんですよ。ハイスタ特集みたいなやつでみたのかもしれない。とにかくそのきっかけになったアルバムなんで、一番衝撃やったんです。ずっと聞いてた。

――衝撃を受けて、CD屋さんに買いに行って……。

鳥羽山 これはね、実は姉が持ってたんですよ。。もうすでに(笑)

丸山 どの家にもあったね。

鳥羽山 曲の話でいうとこんな音楽聞いたことなかったんですよ。はじめ、イントロの曲調で行くんやと思ったら、後からすごい疾走感出してくるし。急に展開が変わる。それでもう、全部持ってかれ

――あとから、また聞き直したりするようなこともあったんですか?

鳥羽山 もう当時はずっと。

――それは確かに、ベストバイですね。

鳥羽山 もう、この年になって聞くのは、懐かしさなんですけどね。全然20代後半でも聞いてましたよ。

――となると、15年くらい聞いているのですね。

丸山 金字塔といってもいいものよね。当時も、わりと売れてたんちゃうかな。

鳥羽山 うん。たぶん、三枚目のアルバムで、オリコンに入ってたと思うんよ。

――特にどの曲がお気に入りとかってありますか?

鳥羽山 このアルバムに関しては、全部。。だから、どの曲っていうより、このアルバムやね、。

――聞くとどんなテンションになるアルバムなんですか?

鳥羽山 いまでも聞くと、お、ってなる。ちょっと昔の記憶も蘇りつつテンションが上がるね。

丸山 当時は二人で部屋でモッシュしてたね(一同笑)。

|NO. 4 スケートボード(鳥羽山カスタム)|

――スケボーのベストバイ、というと?

鳥羽山 ちょっと細かくなるんですけど。僕がイケていると思っていたデッキはガールっていうところのやつ。トラック、というかタイヤの先にある金具の部分は、ベンチャー。これはベタっちゃベタ(笑)。それでNiNjAのベアリング。

――ベアリング。

鳥羽山 ベアリングって、タイヤの中に入っているもので、このベアリングがいいと、すごく回転するんですね。一回プッシュすると、ずっと走れるんですよ。

――完成品ではなくカスタムすることもスケーターのこだわりが出る部分なんですね。

鳥羽山 基本的に、全部くっついて売ってるもの(コンプリート)は、はじめてスケボーにチャレンジする人用かな。僕のようなアマチュア含めてスケボーが好きなスケーターは一個一個部品を買います。なので、一番上のデッキを買って、デッキシートっていう上のザラザラのやつも、お店の人に貼ってもらうか、自分で買って貼る。やから、他のパーツも買って、取り付けるんやけど、タイヤだけ買ってもベアリングがついてないんで、それも買うんですよ。それで、当時、NiNjAっていうブランドの、7番が一番良いとされていたんですよ。略して、ニンナナっていうんですけど。

引用:NiNjA ( http://www.ninjask8.jp/index.html )

――この地域に売ってる場所がないと思うのですがどこで手に入れていましたか?

鳥羽山 ないですね。

丸山 ちょっと置いてくれてる場所はあったけど、大阪いったりしてたよね。

鳥羽山 夏休みとか冬休みに大阪いったときに、スポーツタカハシか、ムラサキスポーツっていうのがあって。そこで買ってましたね。

――この構成が、自分なりに買って組み立てていたときのベストですか?

鳥羽山 うーん、ウィールに関しては、なにがあったのか覚えてないんですよね。適当なものを買っていたような。

――友達とかと、かなり違うものにしようとしてたりとかは……

鳥羽山 実は、本気でやってたのは僕だけやったんで(笑)。みんなは、それなりに、コンプリートしたやつとか、先輩にもらったやつとかを使ってましたね。

――スケボーを一緒にしていた仲間で1から全部揃えて準備したっていうのは……

鳥羽山 僕だけちゃいますかね(笑)

――いまでも、自分で揃えたやつは手元にありますか?

鳥羽山 ないですね。消耗品なんで、割れたりとか。トラックも、ずっと使ってると曲がってきたりするので。定期的に変えますよ。実は、こっち(那智勝浦)に戻ってきたときに、買い直したんですよ、全部。それは、さっき言ったやつとは違うラインナップで。10年前のトレンドで揃えてましたね。

(後編:2022年編へ続く)

(文:池山 構成:山口 編集:辻本 写真:丸山)

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